福岡県女子
2020年12月4日
福岡県の強さ(ぜひ福岡男子のコラムもあわせて読んでいただきたい)はミニバス、中学から積み上げられたもの。男子との差は、福岡第一と福岡大学附属大濠による2強の構図ではなく、古豪と新たに出てきたチームの群雄割拠となっている点だ。
福岡では中村学園女子が1979年の初出場から31回の出場を誇り、90年代と00年代にそれぞれ2度の優勝歴がある。その後は福岡大学附属若葉が台頭。さらに2017年から昨年までは精華女子が3年連続で県予選を制した。昨年に福岡県2位でウインターカップ初出場を果たした東海大学付属福岡は今年、初めて県予選を制して2年連続での出場を果たす。
中村学園女子も福岡大学附属若葉も今なお強いチームだが、新興勢力の2校がそれを上回る実力を持ち始めている。精華女子は過去3年間、エースの三浦舞華、司令塔の樋口鈴乃と代表級のプレーヤーを擁して福岡を制したが、2人が卒業した今年も先輩たちが築き上げた伝統を守り、速攻と堅実なセットプレーを中心としたバスケットを見せている。
また今年の東海大学付属福岡は、これまで磨いてきた平面のバスケに、198cmの長身を誇る留学生ファール アミナタを加えて激戦区の福岡を制した。アミナタはまだ1年生で動きはぎこちないが、それでも198cmは女子バスケでは圧倒的な高さ。本大会でも波乱を起こす存在になりそうだ。
写真提供:©バスケット・カウント、福岡県バスケットボール協会
環境の良さも男子と変わらない。ここに挙げた中村学園女子、福岡大学附属若葉、精華女子、東海大学付属福岡はすべてバスケ部専用の体育館を持っており、練習に打ち込むことのできる環境が整っている。また、専用の体育館があれば他県のレベルの高いチームを招待しての練習試合も行いやすい。東海大学付属福岡には、留学生対策をしたい南九州や本州西側のチームが次々と訪れたそうだ。東海大学付属福岡としても全国大会の経験には乏しく、また今年は新型コロナウイルスの影響で公式戦も少なかったため、本大会を前に高いレベルでの試合経験を重ねられるという意味で、非常に大きかったはずだ。
それだけではない。今回の県予選では福岡第一の女子バスケットボール部も、優れた留学生プレーヤーを加えて強さの片鱗を見せている。男子で大いに成功している学校側は、女子でも強豪を作り上げたいと意欲的で、今の群雄割拠からさらにレベルが上がり、どこが勝ってもおかしくない状況になりそうだ。
中村学園女子による2006年の優勝、2010年の準優勝の後は結果が出ていないために注目は男子に集まるが、いつ勝ち始めてもおかしくない、そんなポテンシャルが福岡の女子にはある。
写真提供:©バスケット・カウント、福岡県バスケットボール協会