ウインターカップ2020 第73回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


チケットの購入

AREA COLUMN 各都道府県紹介コラム

和歌山県男子

2020年12月8日

和歌山県は人口が少なく、バスケが盛んな県とは言えない。ウインターカップが高校選抜と呼ばれ、大会参加校も少なかった時代には、男女ともに近畿地区を勝ち抜くのに四苦八苦し、大会に出場する権利をなかなか得られなかった。1990年から各都道府県に出場枠が与えられた後も、全国での1勝が遠い状況が続いている。

それでも、少しずつではあるが県内の状況は変わりつつある。紀の国わかやま国体が行われたのは2015年で、この大会に向けてターゲットとなる年代の強化が長期計画で行われた。小学校高学年のミニバス年代の普及にも予算が割かれ、バスケ教室が県の各地で盛んに行われた。

こうした取り組みにより県内のバスケ人口が少しずつ増えていった中で、ミニバスから中学へと良い選手が育っていく流れができた。ミニバスの強豪チームから吉備中へと選手が進み、それまで近畿大会を突破できなかった和歌山のチームが全中に出場できるようになった。また昨年には和歌山県で全中を開催している。

このように県内での底上げが進む状況において、高校の勢力図も変わりつつある。かつての和歌山県では初芝橋本が全国大会の常連校だったが、現在は和歌山工業が今大会で4年連続6回目のウインターカップ出場と、県を代表する強豪校になっている。

サイズのある選手、全国的な注目を集めるスター選手は不在でも、県内で育った優れた選手を集めて小さいなりに機動力を生かしたバスケを展開する和歌山工業は、これまでも初芝橋本と接戦を演じていた。スピードを生かすだけでなくスクリーンを上手く使うなどハーフコートオフェンスでの精度を高め、勝負どころで手堅いバスケを遂行することで、ここ何年か連続でライバルに競り勝つようになった。今回のウインターカップ予選では決勝で101-62と大差を付けている。

写真提供:和歌山県バスケットボール協会

昨年大会は宮城県代表の明成を相手に1回戦負け。全国からサイズと才能を兼ね備えた選手を集める強豪校との差を見せ付けられる形となったが、インターハイを終えた時点で3年生が2人を残して引退したチームだった。下級生中心でウインターカップに臨んだ経験は今年に生きるはず。昨年大会からキャプテンを務める松下一成を中心に、5人でゴールを目指すコンビネーションオフェンスでまずは全国での1勝を目指す。

和歌山県のバスケットボール関係者は、国体、全中の開催という良い流れを今後に繋げることに意欲を燃やす。小さい県ではあるが、協会の専務理事を中心に大会運営を一致団結でできているパワーがある。それが生きたのは去年の天皇杯2次ラウンドの誘致。開催地に立候補して、天皇杯王者の千葉ジェッツとウインターカップ王者の福岡第一という好カードが和歌山で行われた。もちろん会場は満員御礼、全国からメディアが集まり大きな注目を集めたし、和歌山でバスケをする子供たちは高校とプロのカテゴリーのトップチームによる公式戦を目の前で見ることができ刺激になったはず。

小さな県ではあるが、普及にも強化にもできる限りの手を打っている。その代表として、和歌山工業はウインターカップに臨む。

写真提供:和歌山県バスケットボール協会

NOW LOADING

TOP