ウインターカップ2020 第73回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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長崎県男子

2020年12月11日

今年のウインターカップに、長崎県から男子は佐世保工業、女子は長崎西が出場する。

4年ぶり2回目のウインターカップ出場を果たす佐世保工業は、就職率100%の公立校だ。ウインターカップ予選の決勝で対戦した長崎工業も就職内定率100%を誇り、県内では人気がある公立工業高校同士の対決となった。佐世保工業だけではないが、選手は就職試験と並行しながら練習や試合を行っているため、コンディションを整えるのは大変だったと関係者は語る。第1クォーターでは佐世保工業がビハインドを背負ったが、その後はすべてのクォーターで上回り、ウインターカップ出場の切符をつかみとった。

長崎県男子の勢力図で言うと、アルバルク東京の田中大貴の母校、長崎西が3年連続(12回)でウインターカップ出場を果たしている。昨年大会では2回戦で北陸と対戦して接戦を繰り広げるも 、1ポゼッション届かずに79-82で敗れた。その長崎西と佐世保工業は長年ベスト4入りをし、ここ最近はそこに長崎工業や長崎日大が入っている。

長崎県の高校スポーツと言えば、サッカーの国見、女子バレーの九州文化学園が全国でも上位に入る強豪校だが、バスケットはそのレベルに達していないのが現状である。今回のウインターカップでも優勝候補の一角に挙げられている東山の指令塔、米須玲音は、佐世保の日野中出身。また、女子の桜花学園で司令塔を務める江村優有も、同じく佐世保の広田中出身。彼らのような全国でもトップクラスの選手が、中学生までは県内にいても高校は県外に進学してしまう。長崎県バスケットボール協会の担当者は、「そこが県としての課題ですね」と言う。全国大会でベスト8に入るような学校は留学生を擁するチームが多い。長崎県も数年前までは留学生を擁する私立高があったが、今はゼロとなっている。

優秀な選手が県内の高校から全国大会を目指すとなると、冒頭で挙げた佐世保工業、長崎西、長崎工業、長崎日大に進学するのが全国大会出場への近道となる。それでも県内の学校とは言え、それらの学校に自宅から通える生徒は多くなく、大半は下宿生活を選ぶことになるという。「そうなると、全国でも上位を狙える県外の学校に進んで寮に入るのと変わらないですよね」と担当者は肩を落とす。長崎県としても、県内の優秀な選手が地元の高校でバスケットをしたいと思えるような育成に取り組まなければいけない。

それでも長崎県初となるプロバスケットクラブ『長崎ヴェルカ』の誕生は、育成年代にも大きな影響を与えると長崎県バスケットボール協会は期待している。プロチームの誕生でバスケ人気が高まるだろうし、Bリーグのクラブとなれば下部組織ができる。今までは県外に出て行った選手が多いが、長崎でバスケットをする有望選手が増えるだろう。

話を佐世保工業に戻すと、平均身長こそ低いチームだが、全体的にスピードがあり3ポイントシュートを得意としている。初戦では奈良育英との対戦となるが、速い展開のバスケットを行い、昨年の長崎西を超える成績を残せるか注目だ。

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