奈良県男子
2020年12月11日
奈良県男子は奈良育英が2年連続9回目のウインターカップ出場を決めた。
奈良育英は学校としてもスポーツに理解があり、サッカー、ソフトテニス、柔道、軟式野球、剣道、陸上、なぎなた、ゴルフ部が全国大会に出場している。
学校がスポーツに力を入れており、環境が整っていることは強いチームを作る上で欠かせない要素だが、奈良育英の強さの秘密は母校を強くしたいと切に願うOBが教員を務めている点にある。コーチの大和友哉は2008年のウインターカップにキャプテンとして出場した経験を持つ。大和コーチが卒業して以降、奈良育英は6年連続でウインターカップ出場を逃した。こうした状況を受け、母校を全国に連れて行きたいという強い思いを持った大和コーチによる、熱心な指導が現在の強い奈良育英を作った。
準決勝の一条戦を97-58、決勝の天理戦を107-88で勝利し、県内に敵なしを印象付けたが、今年のチームは2年生が主体となっている。3年生でキャプテンの山口大智とともに、2年生の吉本有佑、桑原隼介が予選の優秀選手に選出された。試合を重ねるごとに経験値を積み、大会期間中もさらなる成長が見込めることも、2年生が主体となっている奈良育英には追い風となりそうだ。
有望選手の県外流出はどこの地域も抱えている問題だが、奈良県も例にもれず同じ問題に悩まされているという。「やはり良い選手は他府県に流れています。大阪や京都、広くなれば新潟や福岡に行ったりもしています。事実、今年の中学校3年生も良い選手は県外に出てしまっています」と、関係者は語った。それでも、「選手を獲っただけでは強くならないと思いますし、しっかり鍛えないとダメです。奈良育英が強いのは取り組みが上手くいっているからではないでしょうか」と、強豪への階段を再び上り始めたチームに期待を寄せている。
奈良はインターハイ中止に伴い、予選も中止が決定した。近畿大会も中止となる中、京都、兵庫とともにインターハイ予選の代替大会を行った。ウインターカップ予選においても充分な感染予防対策の基に大会を実施するなど、周りの府県の考えを柔軟に取り入れ、『withコロナ』の考え方で運営を進めている。
奈良育英は1回戦で全国常連の船橋と対戦する。「コロナの状況で見えにくい部分もあるが、他府県に比べるとバスケットボールの盛り上がりは正直少ないかもしれない」と関係者は苦しい胸の内を語ったが、奈良育英が船橋の壁を乗り越えることができれば、奈良バスケットボール界の上昇の機運は高まるはずだ。