【現地レポート④】関西大北陽を支える“真のエース”
2020年12月23日
「SoftBank ウインターカップ2020 令和 2 年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の初日 (12月23日)。G コートの最終試合に登場した関西大学北陽は96-56で広島皆実を圧倒し、2 回戦に駒を進めた。エースの金近廉にとっても高校生活の集大成となる全国大会を理想的な形でスタートさせたと言えるだろう。
昨年、初めてのウインターカップを戦った関西大北陽は初戦で正智深谷に逆転勝利を収めたが、2 回戦では尽誠学園に手も足も出ずに完敗。当時 2 年生だった金近自身も全国の強度を痛感し、その経験を胸に『来年こそは』という思いでこの 1 年を戦ってきた。
より一層の飛躍のために必要なことは何か、自身の追い求めるプレースタイルはどんなものか。苦い経験を経て、そうした具体的な部分が明確になったことで、金近はその才能をさらに開花させた。「去年、ウインターカップを経験したことがすごく大きかったです。去年はまずこの場に慣れることに苦労があったんですけど、今年は緊張もなくて最高の状態で試合に臨むことができました。3 ポイントシュートもインサイドも自由に得点できて、僕としては思いどおりにプレーすることができました」と金近。
エースの成長には渡辺真二コーチも「去年よりも数段成長していて頼もしい限りです。“真のエース” になったというか。昨日も夜のミーティングで彼には『よくぞここまで成長してくれた』と伝えましたし、1 年生も彼を見て 3 倍くらいの速度で成長している感じがしますね」と、目を細める。
リーダーとしても成長し、ハドルの中心で声を出す金近からは、エースの風格が漂っていた。
試合は第 1 クォーターこそ、17-14と競った展開となったが、高さに勝る関西大北陽が金近、森田のインサイドにボールを集め、広島皆実のエースセンター大福谷和馬と都築勇太をファウルトラブルに追い込んだ。その結果、相手のオフェンスが停滞し、その間にじわじわ点差を拡大。気が付けば第 2 クォーター終了時点で54-33の大差が付いていた。
「周りのメンバーも僕が気持ちよくプレーできるようにパスを入れてくれて、僕からも合わせのパスの何本かできたので、それは自分の成長であり、この試合で得た収穫でした」と語った金近自身のスタッツは33得点、15リバウンド、3 アシスト、3 スティール、4 ブロック。しかもこの数字を29分に満たないプレータイムで残したのだから圧巻としか言いようがない。
1 回戦を快勝した関西大北陽に立ちはだかる次戦の相手は、昨年準優勝の福岡大附属大濠。今年も注目を集める強豪を相手に「チャレンジャーとして最初からディフェンスでも仕掛けていきます。個人の目標は30得点。ただ、自分のところにプレッシャーをかけてくるのは予想できるので、味方を生かしながら。今日よりも良いパフォーマンスをして勝てたらうれしいです」 (金近) と白い歯を見せた。
昨日よりも今日、今日よりも明日。日々進化を続けるオールラウンダーが強豪撃破に挑む。