【現地レポート⑳】3 年生エース舘山萌菜と 1 年生キャプテン森岡ほのか。責任感の強さを感じさせる札幌山の手のリーダーたち
2020年12月27日
「私がシュートを決めて同点にしたかったのですが、外してしまったので…あそこを決め切りたかったです」
第 4 クォーター終盤、2 点差に追い上げた後のプレーについて、札幌山の手 (北海道ブロック推薦 / 北海道)の #4 舘山萌菜は、言葉を絞り出しながら振り返った。
大会 5 日目、「SoftBank ウインターカップ2020 令和 2 年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の準決勝、東京成徳大学 (東京) を相手にした札幌山の手はビハインドの状態から終盤に猛追したが、最後は92-96で敗れた。
試合後は悔し涙に明け暮れた舘山だったが、ここまでの一試合平均得点は33.50点。アベレージでは、現時点で女子ランキングの 1 位である。
4 試合を戦った今大会について、「通用するところと通用しないところがはっきり分かりました。大学でも (プレーを) 続けるので、できなかったことや相手に通用しなかったことをしっかり自分なりにまとめて、これからに生かしていきたいです」と総括する。
今年の札幌山の手は、「今までとは違うチーム作り」と指揮を執る上島正光アシスタントコーチが言うように、1 年生の #14森岡ほのかがキャプテンを務めた。舘山はというと、アシスタントコーチという役に。これには指揮官の「2 人で相談しながらチームを引っ張っていくように」という意図があった。
舘山は、これについて「上島さんのバスケットボールを 3 年間やってきて、分かることが増えてきました。それを後輩やチームメイトに伝えていく。練習中から私が言うようにして、上島さんに言わせないようにやろうという意識は持っていました」と言う。だが一方で、下級生に対しては「私がちゃんとしなくてはいけないのに、それができていなくて後輩に迷惑をかけてしまいました」とも語った。
しかし、その言葉とは異なり、1 年生の森岡 (ほ) は、「上手くいかない時に、『頑張ろう』などと声を掛けてくれて、今日の試合でも前半にすごく励ましてくれたので、後半がやりやすかったです。追い上げた時も 3 年生がディフェンス頑張ったから。優しくて楽しい 3 年生でした」と 3 年生への感謝の言葉を惜しまない。
試合後、森岡 (ほ) は、舘山に「すいません」と言ったという。「最後、謝られてしまったので、『ありがとう』と言いました」と涙ながらに舘山がそのことを明かしてくれた。
11月から就任したキャプテンについて「キャプテンとしてチームに何もしてあげられることができなくて、自分のせいで負けてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです」と森岡。学年に関係なく、与えられた役割をしっかり果たしたいという気持ちは強かったのだろう。
森岡、そして舘山も、それぞれが課せられた大きな役割を背負いながら、チームの勝利のために努力を重ねた。優勝とはいかなかったものの、取り組んだ先に手にした銅メダルは彼女たちの今後を明るく照らすものとなるだろう。
「メインコートでできたこと。後輩たちはまだ高校生活が残っているので、上島さんを信じて、もう一度この舞台に立てるように頑張ってほしいです」
高校バスケにピリオドを打った 3 年生の舘山は、後輩たちにエールを送った。