ウインターカップ2020 第73回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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REPORT 現地レポート

【現地レポート㉓】女王が女王であり続けるために――

2020年12月28日

下馬評を含め実績や経験では桜花学園 (東海ブロック推薦 / 愛知) に分がある。しかし東京成徳大学 (東京) には勢いがある。一発勝負のトーナメント形式では、しばしば勢いが実績や経験を上回ることもあるのだ。桜花学園にしても、過去にそれで何度も煮え湯を飲まされたことがある。

果たして「SoftBank ウインターカップ2020 令和 2 年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子決勝戦。厳しいディフェンスと持ち味のシュート力を生かして粘る東京成徳大学だったが、徹底してインサイドにボールを集めた桜花学園が89-65で勝利し、2 大会連続23回目のウインターカップを手にした。

記者会見の登壇した桜花学園の井上眞一コーチは決勝戦を振り返って、第一声としてこう言っている。
「昨日の東京成徳大学と札幌山の手の試合がすごくハイスコアで (96-92)、トランジションの速いバスケットをしていたので、今日も 3 ポイントシュートはやられるだろうなと思っていました。でも私の予想以上にやられてしまって、思っていたより点差が開かず、ストレスの溜まるゲームでした。江村 (優有) のターンオーバーも多かったし。それでも最終的には (オコンクウォ スーザン) アマカが驚異的なスコアを取ってくれて、すごく助かりました」

確かに江村は 7 つのターンオーバーを犯しているし、大会歴代 2 位となるオコンクウォの53得点も驚異的である。しかし桜花学園の強さはディフェンスにある。今大会も決勝戦が始める前の時点で総失点が243、平均すると48.6点しか取られていない。東京成徳大学に65失点というのは、平均値から比べると多いのかもしれないが、及第点を与えられないほどでもない。
しかし井上コーチは冗談交じりにこうつないでいる。
「正直に言うと、もう少しディフェンスができると思っていました。今日の決勝戦では30点は開きたかったんです。ひとりひとりの得点を計算して、だいたいウチが80点を取って、相手を60点以内に抑えるというゲームプランを立てていたのですが、それ以上に点を取られたので今日はダメです」
この飽くなき探求心こそが桜花学園を “女王” たらしめている要因だろう。

キャプテンの江村は大会前、さまざまなメディアを通して、ウインターカップは「圧倒的に勝ちたい」と言っていた。決勝戦まで含めると平均102.5得点、51.3失点。平均値でもほぼダブルスコアになる圧倒的な勝利だった。しかし江村自身も「数字から見るとそうなんですけど、内容的には全然よくなくて、特にディフェンスで課題が残りました」と振り返る。
そのうえで同じく記者会見の登壇していた朝比奈あずさら下級生に向けて、こうアドバイスを送った。
「桜花の持ち味はディフェンスからブレークです。ディフェンスでのポジション移動をもっと速くしたり、まだまだコミュニケーションが足りないと思うので、コミュニケーションをとって、どんどんディフェンスで当たっていって、ブレークを出すようなチームを、練習のときからみんなで声をかけあって、作ってほしいです」

女王が女王であり続けるために――

新型コロナウィルスの影響でインターハイが中止となり、今年度唯一の全国大会となったウインターカップ2020。頂点に輝いたのは再びの桜花学園だったが、彼女たちの挑戦はまだまだ続いていく。

【大会女子ベストファイブ】
江村優有 桜花学園#4
オコンクウォ スーザン アマカ 桜花学園#10
朝比奈あずさ 桜花学園#11
山田葵 東京成徳大学#4
須田理恵 東京成徳大学#6

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