ウインターカップ2020 第73回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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【現地レポート㉒】3 年生の意地を見せた仙台大学附属明成の“ダブル山内”

2020年12月27日

 仙台大学附属明成 ( 宮城 ) には、 2 人の山内がいる。#10山内 ジャヘル琉人と、#17山内 シャリフ和哉だ。兄弟や親戚ではなく、ジャヘル琉人は沖縄出身でシャリフ和哉は愛知出身。故郷を離れてはるばる杜の都・仙台で同校の門をたたき、同級生として 3 年間の苦楽をともにしてきた仲間だ。

 大会 5 日目、この日からメインコートとなった「SoftBank ウインターカップ2020 令和 2 年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。男子準々決勝で、仙台大学附属明成は前年王者の福岡第一 ( 福岡 ) と顔を合わせた。この試合、大きなカギを握ったのが 3 年生の “ダブル山内” だ。

 スターターに名を連ねるジャヘル琉人は、190㎝の長身と高い身体能力を持ち、飛び込みリバウンドや柔らかな 3 ポイントシュートが持ち味の選手。下級生の頃から佐藤久夫コーチにシュート力を高く買われ、最初は消極的だったが今年は「積極的にプレーすることを心掛けています」(ジャヘル琉人) と、最上級生として精神面でも成長を遂げた。

 だが、迎えた福岡第一との山場の一戦、ジャヘル琉人は「最初は緊張してしまって…」と自身でも振り返るように序盤からどこか動きが硬かった。あまりのぎこちなさに、シュートを外した直後、ベンチから佐藤コーチが肩を上げ下げするアクションで “リラックスしろ” と励ます場面も。

 それでも「普段の動きを取り戻すために、ディフェンス、リバウンド、ルーズボールに積極的に参加して自分のオフェンスにつなげていくことを意識しました」と我慢し続け、第 4 クォーターでようやく硬さが取れてきた。残り 2 分には、価値ある逆転シュートを決めてチームに貢献。「自分たちは我慢することを練習でやってきて、それをコートに出そうとみんなで話していました。そこが今日は出せてうれしいです」とジャヘル琉人は振り返る。

 一方、佐藤コーチが「ムードメーカー」と評するのがシャリフ和哉だ。体の強さを生かしてインサイドを主戦場としており、ワンポイントでの起用が多いがハッスルプレーで味方を大いに勢い付けられる選手。そんなシャリフ和哉はこの福岡第一戦、第 4 クォーターの苦しい場面で出番が回ってくると、攻め気を見せて福岡第一の#65キエキエトピー・アリ相手にバスケットカウントを獲得。アリを 5 ファウルで退場に追いやり、勝利の立て役者となった。「『自分がやってやる』という気持ちでコートに入りました。迷わずにプレーできたと思います。強くねじ込むことを意識しました」と、自身のプレーを振り返ったシャリフ和哉。

 この “ダブル山内” を筆頭に、緊迫した第 4 クォーターでは 3 年生の活躍が光った仙台大学附属明成。 2 年生エース・# 8 山崎一渉の活躍 ( 29得点17リバウンド ) ももちろん勝利には欠かせなかったが、周りの 3 年生も大事な場面で意地を見せたと言えるだろう。明日の準決勝の相手、北陸 ( 福井 ) は、昨年のウインターカップ、インターハイと対戦して敗れた因縁の相手。 3 年生にとっては最後の冬、悲願のリベンジになるか、熱戦は必至だ。

 

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