ウインターカップ2020 第73回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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AREA COLUMN 各都道府県紹介コラム

山口県女子

2020年12月4日

昨年からウインターカップの出場枠が広がり、各地方ブロック大会の優勝都道府県に1枠が加えられるようになった。中国ブロックの第1号(2019年)は広島県だったが、今年は新型コロナウィルスの影響で中国ブロック大会がおこなわれず、2月におこなわれた中国ブロック新人大会がその対象大会となった。その女子の部で優勝したのが慶進である。

山口県では対象大会で優勝し、ウインターカップに推薦出場するチームは、ウインターカップ山口県予選を免除するという独自のルールを事前に作っていた(来年度以降、変更の可能性もある)。そのため推薦を受けた慶進は予選免除でウインターカップに出場することになったのだが、これはけっしてメリットだけとは言えない。特に今年はコロナ禍で上記の中国ブロック大会やインターハイなど、主要大会がことごとく中止となった。夏にはインターハイの代替大会として、山口県独自の「メモリアルカップ」が開催されたが、慶進が公式戦を戦ったのは2月の中国ブロック新人大会以降、それだけしかない。つまり真剣勝負の場が少なく、ゲーム勘を養えないまま、ウインターカップに臨まなければならないのだ。

写真提供:山口県高校体育連盟バスケットボール専門部

一方で、慶進が中国ブロックからの推薦枠で出場することになり、山口県代表として出場する枠は残された。その一枠を賭けたウインターカップ山口県予選を制したのは徳山商工だった。今年の山口県女子は慶進と徳山商工、そして誠英の3校が三つ巴の様相を呈していた。慶進が制した県新人大会でも、徳山商工は慶進に勝って、誠英に負け。徳山商工に負けた慶進は誠英に勝っている。果たしてウインターカップ山口県予選は、先に慶進が推薦出場枠を手に入れたため、徳山商工と誠英の一騎打ち。上記の結果からもわかるとおり、その2校であれば誠英に分があるのでは、というのが戦前の予想だった。徳山商工としても誠英には相性が悪いと感じていた。中村浩正コーチもそう認めている。

しかし蓋を開けてみると、その誠英が準決勝で宇部商業に敗退。決勝戦まで勝ち上がった徳山商工は、勢いのある宇部商業を振り切って、2年ぶりのウインターカップ出場を決めた。
山口県は公立、私立ともに行政の指示に従い、2ヶ月間の休校を余儀なくされた。休校が明けてからも県外への遠征は認められず、例年のようなチーム作りはままならない。両校ともにまずは自チーム内での練習に終始し、その間に基礎スキルの再構築、体づくりもおこなってきた。県外への遠征は認められないなかでも、県外から来るチームの受け入れは可能になると九州の高校と練習試合をしたり、県内の実業団などとも練習試合をおこなって、チーム力を上げてきた。11月前後にようやく県外遠征の許可が下りると、他県の大学とも練習試合をおこなってきた。

コロナ禍でチーム作りは難航したが、両校ともに急ピッチで仕上げに入っている。慶進は昨年のウインターカップを経験している選手がほとんど残っているのは強みだろう。2012年のインターハイでベスト8に入ったときも、前年からの経験者が残っていたことがプラスに働いたと村谷勉コーチは言う。

山口県勢としては、ウインターカップで近年、男女ともにベスト8の舞台に立っていない。経験の慶進か、勢いの徳山商工か。注目である。

写真提供:山口県高校体育連盟バスケットボール専門部

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