ウインターカップ2020 第73回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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REPORT 現地レポート

【現地レポート⑯】10大会ぶりのメインコートに導いたキャプテンの冷静

2020年12月26日

東京成徳大学(東京)の山田葵は焦っていた。前半は12点のリード。後半、少し油断をしたとはいえ、第3Qを終えたところでも13点のリードがある。しかし第4Q、安城学園のフルコートプレスディフェンスに失点後のスローインさえままならない。気づけば逆転されていた――。

「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子準々決勝。リードから一転、最終Qで逆転された東京成徳大学だったが、佐坂光咲のブザービーターでの3ポイントシュートが決まり、逆転勝利をあげた。最終スコア96-94である。

今大会の東京成徳大学は得点力の高さに目を奪われる。初戦の精華女子(福岡)戦が117点、2回戦の慶進(山口)戦が105点、3回戦の県立小林(宮﨑)戦こそ100点に届かなかったが97点。なかでも佐坂や須田理恵の得点が際立っていた。しかしその攻撃を司っているのは冒頭に掲げたポイントガードの山田である。彼女の的確なコントロール、球離れのよさがチームの得点力を増していったといえる。

しかし本人はこう言っている。
「ウインターカップが始まって1試合目、2試合目とあまり自分で得点を取りにいっていないと思ったので、今日の試合はどんどん取りに行こうと思っていたんです。でも今日も途中で仲間にパスすることしか考えていない時間帯があって、自分で点を取りに行く気持ちが弱くなっていたところがあったので、そういう弱いところが出ないように、強い気持ちで戦っていこうと思っていました」
その気持ちが表れたのが第3Qだろう。山田の積極的なペイントアタックからチームメイトへのディッシュパス、ディフェンスが引けばジャンプシュート、3ポイントシュートを立て続けに決め、チームに勢いをもたらした。

最終Qで逆転されたときは、本当に焦ったという。それでもキャプテンでもある自分が焦ったチームメイトにまでその焦りが伝染してしまう。
「自分自身に『落ち着け』って言い聞かせてやっていました」
心の中ではざわつきながらも、自分を落ち着かせることで冷静さを保ったことが、チームを逆転へと導いたわけである。

残り15秒。3点ビハインドの場面で山田はドライブを決めている。1点差。残り時間を考えると3ポイントシュートを狙ってもおかしくない場面で、山田はドライブを選択しているのである。以下、山田の述懐。
「3ポイントシュートを狙っていたんですけど、すごく警戒されていたので、まずは自分が得点を取りに行って、ファウルをもらえれば、バスケットカウントもありうる。もし2ポイントだったとしても、まだ自分たちで詰められる時間があったので、とりあえず点を取りに行きました」
15秒でもまだチャンスはある。山田はそう考えていたわけだ。

安城学園、タイムアウト。ボールキープをされれば、東京成徳大学の負けである。

しかしスローインした安城学園にプレッシャーをかけると、ボールがこぼれてきた。ルーズボールを拾った東京成徳大学は山田にボールを預ける。繰り返すが1点差である。2点でいい。シュートを決めれば逆転なのである。そこで山田が選択したのは左コーナーでノーマークになっていた2年生シューターの佐坂へのアシスト。佐坂は前日の試合で8本の3ポイントシュートを決め、この試合でもそれまでに3本の3ポイントシュートを沈めている。
もう一度言う。1点差。2点でいい。
「自分で決めに行こうかとも思ったんですけど、ディフェンスが完全に寄ってきていて、佐坂が空いていて、絶対に決めてくれると信じていたので、パスを出して佐坂に打たせました」

決めた佐坂も素晴らしい。しかし最後までポイントガードとしての冷静さを欠かさなかった山田も素晴らしい。結果論かもしれない。佐坂が3ポイントシュートを外していたら、あるいは山田も悔やんでいただろう。それでも東京成徳大学のポイントガードとして、チームで戦うことを忘れなかった。

東京成徳大学としては2010年以来、10大会ぶりのメインコートである。
「メインコートに立つことが自分の中で夢だったのですごくうれしいです。せっかくメインコートに立てるなら、明日も思い切りプレーして、応援してくださっている人たちに恩返しができるように結果を残していきたい」
明日も結果を残せれば、2009年以来、11大会ぶりのファイナルが待っている。

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