【現地レポート㉔】“因縁”のリベンジを果たしたファイナリストたち
2020年12月28日
苦い敗戦が、チームを成長させる良薬となったようだ。
大会 6 日目、「SoftBank ウインターカップ2020 令和 2 年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子準決勝は、両試合ともに “因縁” の対決となった。
まず行われた東山 vs. 洛南の一戦は、言わずもがな京都府同士のライバル対決。ただ蓋を開けてみれば、東山が終始自分たちのペースで試合を進め、87-67で快勝する形となった。洛南はエースの #5 小川 敦也が前の試合の負傷で戦線離脱したことが手痛く、#8 大石 日向が 3 ポイントシュート 5 本を含む19得点で攻撃を引っ張ったものの、一矢報いることはできなかった。
快勝の裏には、ウインターカップ京都府予選での苦い敗戦 ( 72−82 ) があった。「負けの経験がすごく生きていると思います。あれから一日一日、選手たちは成長しているし、今大会も厳しい組み合わせになりましたが、だからこそ各県の強豪を倒して成長できている」と東山・大澤徹也コーチ。大会前、新人戦の頃から勝ち続けてきた洛南に敗れたことで、逆に気を引き締めて今大会に臨むことができたようだ。
一方、仙台大学附属明成 ( 宮城 ) vs. 北陸 ( 福井 ) の試合も、昨年のインターハイ & ウインターカップの再戦という“因縁”をはらんでいた。昨年、北陸に夏も冬も敗れた仙台大学附属明成にとっては、まさに “三度目の正直”。試合は予想どおり互いに一歩も譲らない白熱のゲームとなったが、60−58で仙台大学附属明成が競り勝ち、昨年のリベンジを果たした。
昨年から下級生主体だった仙台大学附属明成には、昨年の悔しさをコートで味わった選手がたくさんいる。3 年生の長身ガード、#7 越田 大翔もその一人。この試合は40分間のフル出場でチームハイの24得点を挙げ、終盤の緊迫したフリースローも高確率で決めてチームを勝利に導いた。佐藤コーチも「頑張りましたね。今までは、練習してきたことをすぐコートに出せる選手ではなかったのですが…。学習機能を働かせることが、試合の中でもできてきている」と成長を口にする。
また、この試合で11得点の好活躍を見せた 2 年生の#14山崎 紀人も、その胸にはリベンジへの思いがあったという。「去年は自分のミスのせいでチームを負けさせてしまいました。今日は卒業した去年の3年生も応援に来てくれていて、去年の負けを取り戻すためにも『やるぞ』と思って試合に臨みました」と山崎 ( 紀 ) は言い、並々ならぬ思いでこの試合に臨んだ様子。選手たちが昨年の悔しさを忘れず、緊迫した場面でも雪辱の強い気持ちを持ち続けたことが、僅か 2 点差で明暗を分けたようだ。
こうして、それぞれ因縁の対決を制し、決勝は東山 vs. 仙台大学附属明成のカードとなった。ガード、フォワード、センターとどこからでも攻められるオフェンシブな東山と、今大会ゾーンディフェンスを武器にロースコアゲームを貫いている仙台大学附属明成とで、タイプは対照的。「相手への対策どうこうより、自分たちらしいバスケットを40分間やることが大事」と大澤コーチが言うように、いかに自分たちのペースに相手を引き込むかが重要なポイントになるだろう。
注目の一戦は、明日12月29日 ( 火 ) の12時10分ティップオフだ。