ウインターカップ2020 第73回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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【現地レポート⑧】ウインターカップでは史上初の高校生審判員・三浦海音君が堂々ジャッジ

2020年12月24日

『ウインターカップ』は冬に行われる高校生の日本一を決める大会だ。

 そこに今年、一人の高校生が審判としてコートに立った。

 史上初の快挙を達成したのは東京都立小山台高校 3 年生の三浦海音くん。三浦くんは、大会初日となる23日 (水) は『正智深谷 (埼玉) 対高知中央 (高知)』、翌24日 (木) には『東北学院 (宮城) 対高岡第一 (富山)』と、予定の 2 試合を審判としてしっかり吹ききった。

「無事に 2 試合終わってホッとしたという気持ちが大きいです。それと同時にこの 2 試合コートに立てたのはお世話になった平原勇次先生の支えがあってのことなので、そこはしっかりとコートでジャッジをして恩返しできたかなと思います」と三浦くんは、試合後に 2 日間の感想を語った。

 そもそも彼が審判の道を目指したのは、同校のバスケット部顧問である平原氏の存在が大きい。平原氏は JBA 公認 S 級審判で FIBA レフェリーの資格も持つ日本のトップ審判。これまでオリンピックやワールドカップなど多くの国際大会をジャッジしてきた。

 中学時代、ミニバスのコーチのお手伝いをしていた時に帯同審判などをしていた三浦くんは、高校に入ってから審判をする機会が多かったこともあり、審判の資格を取り始めた。そして高校 2 年の春からは B 級審判員となったのだ。

 本来、ウインターカップで派遣されるのは S 級、A 級の審判がほとんどだが、今大会は新型コロナウイルス感染症の影響で審判の移動制限がかかり、関東圏内の審判だけの派遣となった。B 級の審判も例年より多く声がかかったことで、これまでの公式戦でのジャッジの実績から三浦くんもノミネートされたという。

 9 月~11月に行われた『2020 TOKYO THANKS MATCH』では、選手として同大会に出場した後、ベスト 8 決めの試合では審判を務めた。一つの大会に選手として、審判として参加したのは珍しい例だろう。

 小山台高校では生徒であり、部員であり、そして審判の後輩でもある三浦くんの試合をじっと見つめていた平原氏は「このレベルの試合を 2 日続けて担当するというのはかなりの精神力がいるので、見ているほど簡単ではないと思っていたのですが、堂々としてやっていたというのが一番感じることです」と感想を語る。

 加えて、「後輩や同級生に対して面倒見がいいです。そういった気配りなどは審判にもつながっていると思います」とも語った。

「一番はトップレベルの選手たちと一緒にコートに立つことで彼らの思いや一生懸命バスケットに取り組む姿を間近で見ることができ、バスケットって面白いなというのを肌で感じました」と目を輝かせた三浦くん。

「ウインターカップの主体は選手で、保護者や見ている観客の方たちにいろいろな思い、メッセージを伝えるのは選手の仕事だと思っています。僕はその手助けをできればいいし、審判は選手たちの試合を成立するのが仕事だと思っています」と力強く語る様子は高校生とは思えないほど。

 ゆくゆくは「審判をやっている以上、上を目指したいし、国際大会で活躍している平原先生のような審判員になりたいと思います」と目標を語ったが、今日一日休んだ後は、明日から「希望する大学に入れるように」と、受験生の顔に戻る。

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